昔々、日本語ロック論争というのがありまして。
まあ論争と言っても、ユーヤさんが勝手に一人で捲し立てていただけなんですが。
以降、はっぴぃえんどが日本語ロックの始祖ということになっているんですが、ちょっと待て。
それ以前にもロカビリーやGSなど、日本語でロックを演奏していたバンドは星の数ほどあったはずだ。
何故に、はっぴえんどなのか、ずっと疑問だったのである。
ロック=アングラということで、GSなどは歌謡曲の範疇だったのかしら?
確かにGSなどはレパートリーとして海外の楽曲を英語でコピーし演奏をしていたが、シングルは既存の作家陣が書いた歌謡曲もどきの作風だ。
かといって、はっぴぃえんどが始祖とは思えない。
自分が考える日本語のロックの黎明はキャロルあたりかしら。
あの、キャワイイ~アノコウワ、ルジアンナァ~みたいな歌唱は明らかに日本語をロックと融合させているなと思った。
その後、この手法はサザン、佐野さんあたりが発展継承されていくのであるが。
比してはっぴぃえんどに関しては、例のですます調で、とてもキャロルには敵わない。
となると、何が日本語ロックの始祖と言われるのかというと、たぶんその文学性からではないか。
ロックの歌詞がほぼ男女の色恋沙汰を取り上げているのに対して、松本氏の書く詩はそれにとどまらない何か深淵な趣がある。
伽藍とした防波堤越しに緋色の帆を掲げた都市が、停泊しているのを見たんです、それでぼくも、風をあつめて蒼空を翔けたいんです
君はファンキィモンキィベイベ~よりは、はるかに文学的である。
そういうことなのか?
いや、たぶんそういうことであろう。
いやでも、風をあつめてはどう聴いてもロックではない。
当時のジャンルで言えば明らかにフォークの範疇だ。
よく言ってもフォークロックだろう。
ねえ。
だとしたら何故。
謎は尽きない。