英国にバッドフィンガーというバンドがあったんですね。
それは稀有な才能を持つソングライターとボーカリストを擁したバンドで、確か、ビートルズが興したアップルっていう会社の第一号アーティストだったんじゃないかな。
違ったら謝る。
でも、ビートルズの舎弟バンド的な売り出し方だったのは確かかと。
音としては、ポール直系のポップンロールと言いますか。
でも、ビートルズ的なA級感には乏しく、どちらかというとB級臭さが残るバンドでございました。
元はアイビーズという名前で活動をしていたのですが、ビートルズ命名ということでバンド名を変えるんですよね。
ジョンはグラスオニオンって名前を考えてあげるんですが、あえなく没になり、その名前はホワイトアルバムの3曲目のタイトルになります。
結局、決まったのがバッドフィンガーで、これはサージェントペパーズの2曲目ウィズ・ア・リトル~(長いので略)の仮のタイトルのバッドフィンガー・ブギから取ったらしい。
グラスオニオンもかっこいいけどね。
曲としては、有名カバーも多いウィズアウト・ユーもいいが、個人的にはノー・マター・ホワットが好きだな。
そういえば、ポール作曲の映画主題歌も歌っていましたよね。
あの曲も好きだな。
で、なんで悲運なバンドかというと、バンド内で二人の自殺者を出しているから。
メインのソングライターだったピート・ハムと特徴的な声質が魅力的なトム・エヴァンスですね。
まあ、ほぼこの二人がバッドフィンガーそのものだったからな。
更に酷いのは二人が自殺を選んだ理由が貧困と版権問題だということ。
ヒット曲もあり、順風満帆とは言えないまでも音楽活動は続けていたのですが、裏社会とも繋がりがあると噂される人間とマネージメント契約を結んでしまい、そいつの汚いやり口で活動の自由は利かなくなるし、金は入ってこないということで、生活に困窮し、自暴自棄になってリーダーのピート・ハムは首を吊ります。
残されたメンバーでバンドは活動をしていましたが、リードギターの人とトムがウィズアウト・ユーの印税を巡り裁判になり、騒動に疲れたトムも首を吊ります。
もうここら辺になるとかわいそうで何も言えない。
素晴らしい才能を持っていて、素晴らしい曲を何曲も世に出し、かつヒットもさせているのに、上手くいかない。
大した才能も無く、大した実績も無いのに、のーのーと優雅な生活をしている輩もたくさんいるっていうのにねえ。
こういう事案を知るにつけ、神様なんていないんだなと思いますね。
そして今日も自分はカーステでバッドフィンガーを聴くのであった。