自分の好きな音楽を論評するサイトはよくある。
そのよくある手を使うのは少し悔しい気がする。
気がするが自分も書いてみる。
悔しいので少しだけ趣向を変えて、好き嫌いではなく驚いたという感情の揺れが大きかったものを書いてみよう。
【君は天然色】
これはもう有名な曲だ。
でも、自分がこのアルバムを購入した際には、少なくとも自分と同年代の認知度は低かったと思う。
忘れもしない上野の松坂屋で、中学の最初のクラス会へ向かう途中、待ち合わせまで時間つぶしによったレコード売場で、ジャケットの素晴らしさに惹かれて購入した。
それまで、大滝さんに関しては、はっぴぃえんどのメンバーだったという事は知ってはいたが、氏の担当パートすら知らないくらいで。
はっぴぃえんどに関しても、ラジオで数曲聴いたくらいだった。
まず一番に、イントロで何か音出しチェックみたいなシーンから始まるのも新鮮だったので耳をそばだてていると、あの強烈な音圧が来て思わずボリュームを下げた。
その後も転調や変拍子が出てくるのだが、全く違和感無く聴かせてしまう、その豪腕ぶりにまた驚いた。
思わず、聴き終わった途端、また聴いてしまった。
そのくらいの衝撃だったな。
【区役所】
そこから少し時が流れて、世の中ではYMOのテクノブームからの流れで、その後ニューウェイブブームになり、そのあとくらいか。
ビブラトーンズのリーダー、いや正確には双子バンドである人種熱のリーダーだった窪田氏がグループを脱退したらしいと。
その後に出されたミニアルバムがバイブラロックで、1曲目がこの曲だった。
これも最初に驚いたのは音圧だな。
大滝さんがある意味、人海戦術なのに比べ、こちらはそもそもメンバーの出す音ひとつひとつが野太いように感じられた。
さらにそれが集約された際の突進力というか。
近田さんの書いたと思われる歌詞も、意味があるような無いような、言葉遊びのような、それだけじゃないような。
それらよりも第一印象でインパクトを与えてくれたのは岡田さんのギターだ。
ビブラのギターと言えば窪田さんというイメージがあったので、これは意外だった。
窪田さんのギターが日本刀のような切れ味だとすると、岡田さんのギターはナタだ。
乱暴にナタを振り回すようなプレイで圧倒されたのを記憶している。
でもこれも、音がショボイと目も当てられなくなるので、ある意味、エンジニアリングも素晴らしかったのかもね。
ちなみに、曲名の区役所って当時から意味不明で謎だったのですが、先日、近田氏の自叙伝を読んだ際、歌詞の中にあるクラクションというか箇所を、メンバーの誰かが区役所と聴き間違えたからと、そんな他愛も無い理由からだそうで。
音楽が好きな人には、これら2曲は聴いておいてほしいな。
たぶん、今聴いても驚きはあると思います。